愛されてできる余裕と笑顔

プロ野球、千葉ロッテマリーンズの美馬学投手と女優の美馬アンナさん夫妻と2019年に生まれた右手首から先がない「先天性欠損症」の長男“ミニっち”。2023年には長女も生まれている。2022年にお話を伺ってから2年ぶりに会ったミニっちは顔も引き締まり、動きひとつひとつが力強くなっていた。ミニっちも4歳となり、両親はどんなことをこの2年で見てきたのだろうか。愛溢れる美馬家のインタビューをぜひご覧ください。



プロ野球、千葉ロッテマリーンズの美馬学投手と女優の美馬アンナさん夫妻と2019年に生まれた右手首から先がない「先天性欠損症」の長男“ミニっち”。2023年には長女も生まれている。2022年にお話を伺ってから2年ぶりに会ったミニっちは顔も引き締まり、動きひとつひとつが力強くなっていた。ミニっちも4歳となり、周囲にも友だちと言葉でのコミュニケーションも活発になってきている。両親はどんなことをこの2年で見てきたのだろうか。

2年前にお話を伺った記事

「親と子とアスリート vol.6 美馬学・美馬アンナ 右手欠損で生まれてきた息子とその親としてできること」https://www.goldwin.co.jp/playearthkids/column/kosodateronnvol-06/

友だちたちとの距離とコミュニケーション


―――前回お話を伺ったのは2年前ですが、ミニっちはお顔がキリッとしましたね。この2年どんな変化がありましたか?

アンナ 自分に手がないのは2年前もわかっていて受け入れていたんですけど、それをお友だちや公園であった初めましての子に聞かれた時、何と返事をしたらいいのかわからず戸惑う姿を公園とかで目の当たりにすることは増えましたね。

―――そのあとはどういうコミュニケーションをされるんですか?

アンナ 自分で言ってほしいから、なんて返すのかを見守っています。あまりにもグイグイ来るお子さんに関しては、引いてしまって「ママ助けて」みたいな顔をされるので、その時は私がさっと入って「生まれつきだよ」みたいな感じで話したりします。時には嫌いって言われる時とかもあるらしくて、ネガティブな感情とか、手のことを言われて悲しいという表現ができるようになってきました。どんどんできることも増えているので親にとってはうれしい日々なんですが。

―――遊び方も変わってきましたか? 先ほど遊んでいたらヒーローものが体のなかにたくさんインストールされているようでした。

アンナ 細かい作業をよくやっていますね。男同士でずっとレゴを組み立てています。美馬っちがいないとママやってって言われるんですけど、私はそういうの苦手で……

美馬 細かいものを組み立てるのが好きなんですよね。レゴスクールにも行っているので、行って帰ってくると2人でああでもないこうでもないと習ってきたものをずっとやっています。

―――お母さんと二人でいる時間はどういう遊び方、過ごし方をされていますか?

アンナ 下の子もまだ0歳で私はなかなか2人ではゆっくり遊べなくなっていますね。やっぱパパがいないと思う存分は遊ばせてあげられない。私の母が常にサポートで入ってくれているのですが、母がいないともう大変で「見て!見て!」「今無理!」みたいな。遊ぶとなるとどこかに遊びに出かけます。お友だちを誘って子ども同士で遊べるように。
アンナ 下の子もまだ0歳で私はなかなか2人ではゆっくり遊べてなくなっていますね。やっぱパパがいないと思う存分は遊ばせてあげられない。私の母が常にサポートで入ってくれているのですが、母がいないともう大変で「見て!見て!」「今無理!」みたいな。遊ぶとなるとどこかに遊びに出かけます。お友だちを誘って子ども同士で遊べるように。

―――レゴスクールのような習い事はどうやって決めているんですか?

アンナ まだ4歳なので、まずは私がやらせたい、やってみてほしいもの。レゴスクールは脳にいいという話を聞いたのもありましたが、たまたまレゴをプレゼントでもらいお家で2人で楽しそうにやっていたのを見て、好きそうだなと。レゴは組み立てるのに、すごく手の練習になるんですよね。ブロックをはめたり、はずすために抑えながら引っ張ったり、向きを変えたり。

―――友だちもできたりしますよね。

アンナ あとはダンスをやらせたくてダンスに連れていったりしましたけど、どうも先生と同じことをやらなきゃいけないのが嫌みたいで。それを経験して、「あ、この子はこういう同じことやってみたいなのはダメなんだな」と気づいた。だから逆にレゴスクールみたいに頭の中のイメージを作ったり、他の人と違うことをやっても間違ってるよと言われない状況が大切だなって。

―――お父さんお母さんで態度が変わったりもしますか?

アンナ 甘え方が違いますね。パパがいればもうパパにつきっきりですよね。帰ってきたらもうパパ、パパって。お風呂は基本パパなんですが、パパとのお風呂は遊んで楽しい時間、私とのお風呂は洗われる時間。洗濯機にぐしゃぐしゃにされる時間みたいな(笑) 寝るのもパパとがいい、歯磨きもパパがいい。

―――美馬さんいいとこ取りのいいポジションですね。

美馬 そうですね(笑)

アンナ 私が嫌な役ばっかりやらされてる(笑)歯磨きも磨き残しがないように隅々まで長い時間かけてやるんですけど、美馬っちからすると長すぎるらしく、美馬っちは早い。子どもにとってはパパ早い、やさしい、みたいな。


幸せを呼ぶミニっち

―――下の子が生まれておよそ半年、変化はありましたか?

アンナ 想像以上にお兄ちゃんっぽくてよく面倒を見てくれるんですよ。赤ちゃん帰りも覚悟していたのもあって、こんなに優しいお兄ちゃんになるとは正直思っていなかった。お腹にいる時から話しかけてくれたり、愛情表現はしていました。もしかすると早い時期からスクールに通い始めていたので、年上の子たちにお世話にしてもらう機会が多くて、下の子を世話することに慣れていたというのはあるかもしれません。

―――ごく自然な感じだったんですね。

アンナ この前「赤ちゃんかわいい 。ママ、お腹からありがとう」って言ってくれて。すごくないですか。もう感動しちゃって。やっぱりこの子自体に愛が溢れてるんだと思います。それは、遊んでという欲求に応える美馬っちがいて、妹が生まれても彼を一番に考えてくれる私の母とか父がいて、先生やお友だちのママもいる。ミニっち・ファーストで味方になって協力してくれる人がいるからこそ、ミニっちにも妹をかわいがる余裕が生まれるんだと思うので、周りに感謝しています。


―――4月から幼稚園ですか?

アンナ そうなんです。理解してくれる先生や友だちが1人でも多くできて、一緒に成長してくれる環境を求めて新しく幼稚園に入るのですが、エスカレーター式でそのまま小学校に上がっていく予定です。新しいところに行くことも嫌がらず楽しみにしてくれているようでよかった。

―――美馬さんがこれからも現役選手を続けるとして、チームが変わることもあり得ますよね。もし遠くのチームだった場合…

アンナ ミニっちが学校を変えたいとかがなければ、やっぱり美馬っち1人で行ってもらうことになると思います。寂しいですが……。私の親のサポートがなくなるのも怖い。千葉ロッテマリーンズに移籍する前は、ミニっちが生まれ、手のことがあって、シーズンが始まれば美馬っちが遠征で家を空けることも多くなることがわかっていたので、遠くに住む両親のサポートなしで一人で子育てをするのは難しいと思っていました。そうしたら流れが急に変わって関東の方に向いてきて。今もしあのまま仙台にいたら、私どうなっていただろうと想像すると怖いですね。だから今のこの環境を変えずに、彼に対しても愛を100パーセントみんなで注いであげられる状況にいられたら。

美馬 ミニっちが生まれる前は楽天で現役を終えると考えていたんです。生まれる前は関東球団からのお誘いは特別なくて、彼が生まれて、手のことがわかって、アンちゃんがすごく落ち込んでいたところで、急に関東に行けるかもみたいな話がポツポツって出てきたんです。

アンナ ミニっちのことを世に言っていたわけではないのに不思議というか、彼が生まれて、流れが変わってきたというか。この子引き寄せてくれた。

美馬 でも正直決断したのは生まれてからです。手のこともあったし、シーズン中遠征が続く中でアンちゃんを1人にさせるのは不安でした。選手にとっては環境を変えるってすごいストレスなんですよ。それがやっぱり引っかかって残留する話までしていたところ、帰えらなきゃいけない日に予定より早く産まれたんです。そこで手のことがわかって、慌てたり、悩んだりがいっぱい始まり、できるだけサポートしてもらえる人が近くにいる場所にしようと移籍することに考え直したんです。


―――アンナさんのご実家がある関東からお誘いでよかったですよね。これがもし関西や九州、北海道とかだったら…。

美馬 受けなかったかもしれないですね。本当にたまたま全部関東の球団でしたから。千葉だと遠征も自分の家から通えるところも多いので家族といられる時間が圧倒的に増えました。楽天時代にキャンプに行くとなったら2か月会えないとかありましたから。

マウンドに立つ姿を記憶してほしい

―――ミニっちは野球に興味持ってきましたか?

美馬 まだ習いたいというところまでいかないんですけど、パパの仕事が野球で、その友だちもみんな野球をやってると思ってますね。

―――友だち(笑)

美馬 チームメイトを友だちだと思ってるみたいです。

アンナ 私が美馬っちが登板する試合を観に行くと負けるというジンクスがあるので、今年はそれを挽回したい…。ミニっちが勝利をもたらしてくれることを信じて、なるべく多くの試合を見せたいなと思っています。

美馬 自分が投げている姿を覚えていられる年齢までなんとか頑張って続けたいところですね。

アンナ 試合に勝っても負けても彼にとってかっこいいパパであることは間違いないはずです。気負わず美馬っちの大好きな野球を思いっきり楽しんでほしいです!


【Profile】

美馬学

1986年生まれ。プロ野球選手・投手。大学卒業後は東京ガスに入社。2010年のドラフト会議で東北楽天ゴールデンイーグルスから2位指名。プロ入り後は、一軍で活躍。ケガで一軍登録抹消も数度経験するが、2013年のクライマックスシリーズファイナルステージでプロ初完封勝利を収め、日本シリーズでは勝利投手にもなり、日本シリーズのMVPも獲得した。2020年から千葉ロッテマリーンズに移籍。

美馬アンナ

87年生まれ。女優、歌手、タレント。子役として芸能活動を始め、2002年からラテンパーカッションバンドBON-BON BLANCOのメンバーとして活動。BON-BON BLANCO活動休止後はタレント、女優としても活動。2014年1月、プロ野球選手の美馬学と結婚。2019年10月11日に長男を出産、2023年8月22日に長女を出産。https://www.instagram.com/mima_79_anna